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京都経済短期大学・藤原ゼミ その1

ポカラに来て早一週間が経ち、いい加減することもないので、そろそろインドに戻ろうかという頃。
わたしが泊まっている宿「ホーリーマウント・ゲストハウス」を経営しているネパール人のおじさんから、近々日本人の団体がやって来ると聞いた。
この団体は日本の大学の助教授と学生たちで、毎年ネパールを訪れては、貧困家庭の子供たちの為に小学校を建てる活動をしているという。

一口に「学校を建てる」と聞いても、いまいちそのイメージがわかない。
日本の学生がネパールで土木作業をするのだろうか。

詳しく聞いてみると、その日本人の助教授は日本で寄付金を集め、毎年、新しい学校を建てたり、老朽化した校舎を建て直したりしているらしい。
学生たちは主に彼のゼミの生徒で、日本から文房具を持ってきて子供たちに配ったり、実際に校舎の建築作業を手伝ったりしているという。
かくいうこの宿のおじさん(ラナバットさん)自身、その活動を支えている主要人物の一人だという。

興味を覚えたわたしは、ラナバットさんに自分も同行できるか聞いてみたところ、快く受け入れてくれた。
こうしてわたしは、京都経済短期大学の藤原隆信助教授と14人の学生たちに出会った。

Holymountgh

8月20日の夕方、藤原ゼミの一行はポカラに到着した。
その夜、わたしはラナバットさんに夕食に招待され、そこで藤原先生と学生たちに紹介された。
顔合わせの時、こちらが「こんばんは」と挨拶したにもかかわらず、「ナマステ」と返されたのはいささかショックではあったが、すぐにわたしが日本人であると分かっ てもらえた。
ラナバットさんがわたしを「インドのマザーテレサの家で一年以上もボランティアしていた人」と紹介したので、「真面目なソーシャルワーカー」として認識されたよう だ。
実際はただの物好きな旅行者でしかないのだが、彼らに同行する大義名分にはなるので訂正はしなかった。

藤原先生は三十代半ばのガッシリした体格の明るいスポーツマンタイプで、印象はどちらかというと「大学教授」というより「体育の先生」という感じだった。
学生時代には水泳で日本一になったこともあり、また、日本拳法のサークルでは主将を務めていたという。
性格もいわゆる熱血な「体育会系」、タイプ論で言う所の「てんかん気質」といった感じだ。
ある意味、分かりやすい人である。

14人の学生たちは意外にも女子の方が多く、男子は4人しかいなかった。
見たところ、皆ごく普通の日本の若者という印象を受けたが、同時に日本人特有の閉鎖的なオーラを感じもした。
ただ、やはり現物を見ても、このネパールの雰囲気から浮きまくったお洒落ガールズがつるはしを振り上げている姿がイメージできない。
一体どんなものが見られるのか、明日からが楽しみである。

食事をしながらわたしは藤原先生に、この活動についてさらに詳しく聞いてみた。
それによると、彼がこの活動を始めたのはもう何年も前からで、すでに4つの学校を建てているらしい。
そもそもの始まりは彼がまだ学生の頃、ネパールを旅行中に偶然ラナバットさんと知り合い、ネパールの教育の現状に触れたことがきっかけだという。

ネパールもインド同様、教育に大きな格差がある国である。
学校には公立と私立があるが、公立校は教師・施設共に質が低く、ある程度裕福な家庭の子供は皆、私立の学校へ通っているという。
公立の学校へは、私立へ行けない貧困家庭や低カーストの子供たちが通っている。
公立でも中学校や高校はまだ比較的まともな様だが、小学校は政府の十分なサポートもなく、震度3の地震でも一発で崩壊しそうな建物と、教室の数ギリギリ、も しくはそれ以下の数の教師たちでなんとか運営されているような所ばかりらしい。
藤原先生はそれを見て、「これはなんとかせなアカン。」と強く思ったという。
やはり熱血である。

学校の建設費用は、主に「ライオンズ・クラブ」という福祉団体からの寄付金でまかなわれているという。
毎年100万円をめどに資金を集めているらしいが、十分な寄付金が集らない年は藤原先生が自腹を切ることもあるようだ。
年100万という数字は、他のNPOやNGOと比較しても決して大規模と言える額ではない。
実際、ラナバットさんに聞いても、100万円でできるのは教室を二つ三つ建てる位で精一杯だと言う。
この小規模な資金力で一体どのように活動し、どれだけの成果を挙げているのだろうか。
それとも、ODAやユニセフのようにあぶく銭を大雑把にバラ撒くだけの、自己満足的な援助活動でしかないのだろうか。

明日から始まる彼らの活動を観察する事で、それは明らかになるだろう。(大きなお世話だろうが)

(つづく)

京都経済短期大学についてはこちらから。
http://www.kyoto-econ.ac.jp/

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